なんちゃって孤独のグルメ ~長野県辰野町のレモンラーメン~

時間や社会にとらわれず、幸福に空腹を満たすとき、

つかの間、彼は自分勝手になり、自由になる。

誰にも邪魔されず、気をつかわずものを食べるという孤高の行為。

この行為こそが、現代人に平等に与えられた、最高の癒しと言えるのである。

~長野県辰野町のレモンラーメン~

仕事道具の調達のため、松本へ

 俺は今、一陣の風になっている…

 いや、一陣の風になるつもりだった。”なるつもり”とは、どういうことか? それは気温が暑すぎで、風になりたくてもなることができないからだ。体に受ける風は熱風ばかり、灼熱地獄が俺の身体を襲い掛かっている。これならば、いっそ車で来た方が良かったかもしれない。

 

 察しのいい方は気づくだろう。今の俺は、愛車の”NC-700X”にまたがり移動している。住居を構える(コドオジ)山中の田舎から、松本市という大都会へ向かって愛車を走らせている。

 向かう先は”プラスワン”

 私の知る限り、最大級の品ぞろえを誇るホームセンターだ。それもカインズやケーヨーデイツーと違い、ほぼプロ仕様向けの工具や資材を入手することができる。

 ここで手に入らないならば、通販を使え。モノタロウとかな。

 そう言い切れるぐらい、品ぞろえがいい店である。何か買うことがなくても、ただ店内の商品を物色しているだけでもワクワクしてくる。DIY好きの彼女がいたとしたら、ここでウィンドショッピングデートなるものを楽しんでみるのもいいかもしれない。

 まあ、そんな理解ある彼女は私にはいないのだが…

 

 それにしても、この暑さ。

 日本全体、いや、地球全体で暑くなっているような気がする。それも違うな。気がするではなく、事実として地球全体で暑くなっているようだ。

 こうも暑いと、食欲もなくなってくるものだ。こんな日は、サッパリとしたものが食べたい気分。サッパリといっても、ソーメンのようにあからさまなサッパリ感を演出する食べ物はダメだ。

 ああいうものは、総じて栄養不足になりがちだ。サッパリしすぎで、そればかり食べてしまう。きちんと栄養を取らないので、夏バテになりやすい体質になってしまう。

 何か栄養を程よく取れて、サッパリ感のある食事はないものだろうか…

 

 そんなことを考えつつ、バイクを走らせる。途中の信号待ちには億劫とした気分にさせられる。たとえ熱風しかこなくとも、こんな暑い中で停車しているのはさらにストレスを増加させてしまう。

 ああ、暑い。

 5月上旬あたりの丁度良い季節が懐かしいものです。この先、地球はどんどん暑くなっていくのだろう。そんな中で、僕たち私たちはどう生きるのか。人は何故生まれ、死んでいくのか。そもそも、この世というものは本当にあるのだろうか。

 いかん。頭がボーっとしてきた。実にくだらないようで、その実この世の真実を知るための問答が頭の中で始まっている。

 

 おや…?

 

レモンラーメンの看板

 

 ふと見ると、何やら珍しいメニューが書かれている。

 ”レモンラーメン”

 何だか爽やかな雰囲気を醸し出すラーメンの名前が掲げられている。いや、しかし下の”濃厚肉みそラーメン”なるものも気になる。暑い日々の中で、あえて暑苦しいものを食すというのもオツかもしれない。

 

 おっと。

 ラーメンの看板に気を取られていたら、信号が青になっている。後方の車も待たせている。あおり運転の被害にあう前に急がねば。

 目的地までもう少しだ。

男の子ってこういうお店にワクワクするよね(⋈◍>◡<◍)。✧♡ 「プラスワン」へGO!

ホームセンター ”プラスワン”

 

 そんなこんなで高温度、高湿度に耐えつつ愛車を走らせること数十分。ようやく目的地のホームセンターへ到着した。

 先ほども言ったが、このホームセンターはカインズやケーヨーデイツーといったそんじょそこらのホームセンターとはわけが違う。正真正銘、モノホン、これぞ現場作業員が求めているもの。

 汎用性の高いものから、マニアックなものまでプロ仕様の資材・工具を買うことができる。ここで手に入らないならば、素直にモノタロウあたりを使うべし。それほどまでに品ぞろえの良い店である。

 さて、目的の資材を買うとしよう。

 

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

 

 よし、必要な資材は用意したぞ。領収書もキチンともらって、後は会社へ経費請求をするだけだ。ウチの会社は仕事で必要なものならば、そこはキッチリと経費で落としてくれる。

 もちろん、モノによっては事前許可が必要だけどね。

 して、このまま帰ってしまうのも芸がない。少し店の中を物色してみよう。

 

 こういう現場作業系のお店というのは、眺めているだけでもワクワクするものである。男の子はいくつになってもこういうものが大好き! 女の子には分からない気持ちだろう。

 たとえ自分に必要のない機械・工具だとしても、それぞれオモシロ要素が満載である。デモ使用している光景を見ようものなら、脳汁が垂れ流し状態だ。

 ここまでHighな気分にならずとも、手軽に味わえる店が身近にあったものである。

 そう、「ワークマン」だ。

 

 思い返せば、あの店も非常によき店だったものだ。

 朝早くから開店し、夜も店舗しだいだがそこそこの時間まで営業している。店の規模は決して広くはないが、基本的な現場作業系のモノは販売されている。

 手軽にワクワクさせてくれたものである。

 それが、今の惨状たるや目も当てられない残念な状況である。すっかりカジュアル路線へと走ってしまったではないか。

 事業拡大、会社の売上アップとなると一見いいように聞こえる。いや、己の利益しか考えない投資家にとっては好材料だろう。そっちの方が望ましいだろう。

 しかし、今までの現場路線の店が良いと考えていた客はどうなってしまうのか。

 キレイな手やキレイな身なりをした男女がイチャイチャしながら店を物色しているのだ。アウトドア用品を物色しているのだ。君たちは何のためにアウトドア用品を買おうというのか。もちろん、どこぞの大自然の中でキャンプをするのだろう。

 だが、はたしてそれだけだろうか?

 答えはモチのロンで”No!”だ。

 年若い男女、大自然の恵み、2人きりの非日常空間。何も起こらないはずがない!

 素人ムフフ歴=年齢の俺にはわかる。

 まずは登山口に向かうまでの車中、これから起こりうることに思いをはせて、イチャイチャするのだろう。登山中はお互い協力しあってイチャイチャするのだろう。道中の水分補給や食事タイムでは「はい。あ~んして。」とイチャイチャして他の登山者にもそのラブラブっぷりをアピるのだろう。そして山頂についたとき、雄大な大自然の景色を楽しむ。テントの中では思いのほか夜の気温の低さに震えるのだろう。しかし、その時に思いつく。激しい運動をすれば温まるではないかと。そして始まる肌と肌とのぶつかり合い…

 リア充爆発しろ!

 全くもって、うらやまけしからん!

 

 っと、いかんいかん。関係のないことでスッカリ興奮してしまった。こういう時はこう考えるんだ。

「お腹が減っているのかな…?」

 腹が減っては戦はできぬ。ムダに腹が減っているから気分がイライラしてしまうのだ。何か小腹に入れることで、気分を落ち着かせる必要がある。

 

 何てことを思っていたら…

 何だか本当に…

 腹が… 減った…

 よし、店を探そう!

自分の心と直感に従うべし! サッパリ系のラーメンを食べよう!

 プラスワンを出てきた俺は、すぐに我が愛車にまたがる。カワイイ奴だ。こいつにもガソリンという食事を後で飲ませてあげるとしよう。

 それはさておき、店を探す俺は今何を食べるべきなのだろうか?

 幸いにして、ここはいつも住んでいる山の中の僻地ではない。そこら中に店が立ち並んでいる。こういう時に困るのは選択肢が多すぎることだ。

 とある調査によると、選択肢が増えすぎると消費者はかえって購買意欲を失ってしまうという。それは、選択肢が多いことでどれも選べなくなってしまう。判断ができなくなってしまうことに起因するとか。

 今の俺の状態がまさしくそれだろう。

 普段住んでいる僻地では、都市部に比べれば店という店はないに等しい。全てが馴染みの店だ。もちろん、それはそれで結構なことだ。

 しかし、いつも同じ店というのも芸がないもの。今日は利用するのをやめておこうという気持ちにもなってします。

 今の俺はどうだろうか?

 あちこちに店が転がっている。どれもこれも美味そうな店が立ち並んでいる。いずれも入ってみたい、食べてみたい気持ちがある。だが懐事情が寂しく、それができずにいる。

 う~む…

 マズい。このままでは選択肢が多すぎるが故に、”選択しない”という選択をしてしまう。いったい、俺はどうしたらいいんだ! おおっ神よ! 俺を救いたまえ!

 

『最も大切なのは、自分の心と直感に従う勇気を持つことです。自分の本当になりたい姿を知っているのは、自分の心と直感なのだから。』

 

 何だろう。

 何かが俺の心と体に降ってきた。ストンと落ちてきた。何かが心の中で浄化されている…

 そうだ! そうなのだ!

 何も難しく考えることはない。自分の内なる声に耳を傾けてみよう。その時に心に浮かんだものが今の俺が求めている”食”なのだろう。

 しばし、眼を閉じて瞑想を行ってみよう。

 

 ・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・

心の声を聴くんだ!

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

 

 見える…

 見えるぞ!

 これが今の俺の心の声なのか! このヴィジョンは一体どこだっただろうか? 確か、ちょうど最近になって見たような気がするぞ。

 ガンバレ俺! 頭の記憶をたどり、この店に行くんだ!

 そうだ、思い出したぞ! ここは確か道中にあったラーメン屋だ。暑さで頭がボケているなかで発見したあのラーメン屋だ。

 おそらくはサッパリ系だろうラーメン屋。この店こそ今の俺にふさわしい。

 自分の心と直感に身をゆだねてみるんだ!

 

 そんなわけで、元来た道を戻る俺。今の時間は10:00過ぎあたり。到着するころにはちょうど開店間際になっているだろう。

 まるで強烈なドライヤーによる熱風にガマンしながら愛車を走らせる。

 どうやら、この時間帯はどの民家も活動していないようだ。渋滞が起こている様子もない。実にスムーズに目的地に到着した。

  

”みさき食堂”というらしい

 ふむ…

 どうやら店名は”みさき食堂”というらしい。なかなか親しみやすい店名だ。

 住宅も兼ねているのだろうか?

 おそらく個人経営の店なのだろうが、それにしても見た目は大きな店だ。これならば店内はきっと広々としているだろう。

 開店直後ならば、他の客も入っていないだろう。頭が茹で卵になるかのような暑さのなか、店内で涼みながら落ち着いて食事ができるだろう。

 

 ところで、今の俺には1つの問題に直面している。

 道中、道がずいぶんと空いていたこともあってか、スムーズに店にたどり着いてしまったことである。いや、それ自体はかまわない話だ。

 問題なのは、開店20分前にこの店にたどり着いてしまったことにある。

暑い! 暑すぎる!

 長袖シャツを着ているので、腕周りや胴体は無事なのだが、問題は首回りである。首の肌がむき出しである。このままでは首がこんがり焼けた黒豚チャーシューになってしまう!

 とはいえ、この付近に日陰になりそうな場所はない。仕方がない。ここはこんがり焼けた黒豚チャーシューになることを覚悟の上で、待つとしよう。

 ちょうど向かい側にJR 小野駅がある。そこのスペースで開店時間まで待つとしようか。

 こんがり焼けた黒豚チャーシューになりながら…

JR 小野駅

そして目にする広々とした店内、落ち着いた雰囲気を醸し出すラーメン屋

 待つこと数十分が経過しただろうか…

 もうダメだ! 首回りが完全にこんがり焼けた黒豚チャーシューになっている! 意識が朦朧としてきた! これはマズい! 店よ、早く開いてくれ!

 そう念を送っていたら、ついに営業中の表示に切り替わったぞ!

 今がチャンス!

 さっそく店に入るとしよう! はたして、どんなラーメンが出てくるのか楽しみだ!

 

広々とした店内

 

 ほうほう。

 いいじゃないの、いいじゃないの。

 店の中は実に広々としている。こういう店は大好きだ。家賃、あるいは固定資産税の関係なのか、個人店でこういう広々とした店内は珍しいものだ。

 こういう店は落ち着いて食事ができるというもの。

 モノを食べる時は誰にも邪魔されず自由で、なんというか救われてなきゃあダメなんだ。独りで静かで豊かで…

 この店はそんな条件に見事に当てはまっている。実に私好みの店だ。己の直観に従ってよかった。この店は私のために用意したのではないかとそんな気持ちにすらなってくる。

 何よりも店内が涼しい!

 いまや、首回りがこんがり焼けた黒豚チャーシューになっている身。この店こそ砂漠の中で見つけたオアシス的存在に感じてしまう。

 さあ、どんな飯が用意されているのか見てみよう。

 

 と思っていたが、この目の前にあるイスの束は何なのだろうか。そして、各個室のスペースは何なのだろうか。

 そうか。

 この店もコロナウイルスのあおりを受けて、こうするしかなかったのだろう。つまり、3密を避けるためにも一部の席を片付け、スペースを確保したのだろう。

 初めて入る店だから、あくまでも推測でしかない。

 まあ、それはそれ。店の事情に口をはさむことではないだろう。おかげで広々とした店内で、独り静かに豊かな食事ができるというもの。

 あまり大きな声では言えないが、これはこれでラッキーな出来事だ。

 それじゃあ席に座って、メニューでも眺めるとしようか。

 

夜は居酒屋もやってるのかな?

 

 ふむ…

 目の前のガラスケースにはボトルキープっぽいものがあるぞ。この店は、夜は居酒屋的なものもやっているのだろうか。さらに興味深くなってきた。

 それと同時に、ちょっと心配なことも。

 っというのも、居酒屋におけるラーメンとは〆の食べ物だからだ。

 脂身と塩気のある食べ物。そこにキャンキャンに冷えたサワー。これは絶対に美味いものである。そして〆にアッサリ風味のラーメンを食べる。

 居酒屋メニューのラーメンとしてはアッサリ系はいいものなのだが、ラーメン屋としてはどうなのか。

 まあ、今になって言っても仕方がない。ただ、そこにある食を楽しむだけである。

 それじゃあ、さっそくメニューを見せてもらおうか。

いろんなラーメンがあるが、ここは直感に従ってレモンラーメンか?!

種類が豊富だ!

 

 なるほど、なるほど。

 いいじゃないの。

 ラーメンの種類が豊富だ。ラーメンだけじゃない。ご飯ものもなかなかのメニューがそろっている。これぞ”The ラーメン屋!”といった感じだ。しかしながら、選択肢が多いというのも困りもの。

 とある調査によると、選択肢が増えすぎると消費者はかえって購買意欲を失ってしまうという。それは、選択肢が多いことでどれも選べなくなってしまう。判断ができなくなってしまうことに起因するとか。(2回目)

 どれもこれも美味しそうだ。みんな食べてみたい気持ちがある。だが懐事情が寂しく、それができずにいる。そうでなくともフードファイターでない元酒屋には、それほど胃袋は大きくない。

 う~む…

 マズい。このままでは選択肢が多すぎるが故に、”選択しない”という選択をしてしまう。いったい、俺はどうしたらいいんだ! おおっ神よ! 俺を救いたまえ!(2回目)

 

『最も大切なのは、自分の心と直感に従う勇気を持つことです。自分の本当になりたい姿を知っているのは、自分の心と直感なのだから。(2回目)』

 

 何だろう。再び、俺の心が澄み渡っていくような気がする。何かが俺の心と体に降りてきた。ストンと落ちてきた。何かが心の中で浄化されている…(2回目)

 そうだ! そうなのだ!

 何も難しく考えることはない。自分の内なる声に耳を傾けてみよう。もともと何が気になってこの店に入ったのか思い出せばいいだけだ。いわゆる、原点回帰というやつだ。(たぶん、意味が違う)

 しばし、眼を閉じて瞑想を行ってみよう。

 

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

心の声を聴くんだ!

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

 

 見える…

 見えるぞ!

 これが俺が求めていたラーメンだ!

 心が決まれば、行動も決まる。行動が決まれば習慣も決まる。俺の胃袋が真っ赤に燃える! 飯を食わせろと轟き叫ぶ!(意味不明)

 「すいません! 注文お願いします!」

暑い日にもサッパリ感ある、スッキリラーメンの登場!

 さて、ラーメンが届くまで落ち着いて涼むとしようか。

 朝、夕と気温が低くなりつつあるとはいえ、まだまだ日中は気温が高い。日差しも強い。首回りはこんがり焼けた黒豚チャーシューになってしまった。

 このぐらいの時期になると、バイクに乗るにも服装に困るというもの。

 日中が暑いからメッシュジャケットで活動したいところ。ところが夕方になると気温が低く、メッシュでは寒さを感じてしまう。

 実に中途半端な季節でもある。

 ときに、そのメッシュジャケットにしても使い始めてから実に10年たつ。色褪せてきたし、チラホラ縫い目がほつれているところがある。

 さすがにそろそろ寿命だろうか。来シーズンになったら、思い切って買い直してみようか。

 ジャケットも高い買い物になるからな。

 単純に値段だけを見るならネットの方が安く済む。だが、服に関しては試着もしてみたいところ。こういうところで選べる店の少なさが悲しいところ。

 今、その場にある物から選ばなければいけないので、比較が限定的になってしまう。

 まあ、仕方がないだろう。来シーズンのジャケット購入に向けて、予算を確保していくとしよう。

  

 っと思っていたら、どうやら店員に動きがあるぞ。

 間違いない。あれは俺が注文した品だろう。

 早く来い。俺のお腹と背中がくっついてしまうではないか。嗚呼、愛しのラーメンよ。早く俺のもとにおいで。美味しく食べてあげるからね。

『お待たせしました。ごゆっくりどうぞ。』

 

元酒屋’s セレクション
サッパリ酸味のラーメンと具たっぷりのチャーハン

 

 おお! これは素晴らしい!

 なるほど、なるほど。これがレモンラーメン、そして付け足しに注文したチャーハンか。これは美味そうだ。いや、これは絶対美味いやつだ。首回りがこんがり焼けた黒豚チャーシューになっている俺にふさわしいラーメン。

 その香りはレモンの酸味が含まれている。酸っぱいレモンだ。口の中が唾液でトロトロになっている。思わずよだれが垂れてしまったではないか。

 誰も見ていないよな…

 何はともあれ、感謝込めて イタダキマス!!

 

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

 

好きな物をたべるって気持ちいい
これは美味い! 何て…美味しいの!

 

 まずはラーメンだ。

 スープそのものは昔ながらの鶏がら醤油ラーメンといったところか。昨今、東京人たちが好むだろういろんな出汁をミックスさせたこだわりの1杯とは相反するラーメンだ。

 しかしこういう単純なものこそ究極で至高の1杯であり、単純さゆえに”美味しい”と言わせるラーメンを作り上げることは難しいとされている。

 この難しい課題を見事にクリアしている。

 もっとも、新しいもの好きの東京人たちには理解できない味だろう。彼らは「複雑で奥行きのある味わい」とか、「こだわりの高級食材」などという謳い文句に踊らされている人々だ。ラーメンではなく情報を食っている哀れな人々だ。

 それはさておき、このラーメンを食べているとホッとする。中華そば原理主義者も絶賛するだろう良い意味での普通のラーメンだ。

 ラーメンだけではない。

 ポイントは付け合わせの”レモン”だ。

 レモンの酸味が食欲をよりかきたててくれる。俺の胃袋が『早くラーメンを食わせろ』と叫んでいる!

 今年の夏はとりわけ暑い夏だった。しかしそれも、この先10年間で最も涼しい夏になるだろうと噂されている。

 ここまで暑い日が続くと、食事もついついソーメンなど冷食ばかりになり、栄養が偏ってしまう。結果として、夏バテの原因になったりする。時には無理してでも、熱い食事で体を鍛えろということだ。

 して、レモンの酸味があることで、熱いラーメンながらもサッパリ感をだしている。非常に食べやすいラーメンになっているではないか。

 ラーメンにレモン。

 まだまだ残暑が漂い、食欲減退気味な日々。アツアツの食事は敬遠したい気分。それに対して、アツアツの食事にすっぱい酸味で食欲をかきたてる。

 ラーメンの世界に一石を投じる、ありそうでなかった発想だ。

 実に美味い。

 

 おっと、ラーメンばかりに気を取られてしまい、チャーハンを忘れていた。

 ふむふむ…

 スプーンで軽く救った感じでは、シットリ系のチャーハンだ。パラパラ系のチャーハンこそが究極にして至高のチャーハンという主義の俺にとっては、若干の物足りなさを感じてしまう。

 それにしても、特筆すべきは”具”の多さだ。

 通常のチャーハンは白米と卵、鶏油が絶妙に絡み合い、パラパラ感をだしている。その中にある具はせいぜい付け合わせ程度のものだ。

 それがこのチャーハンはどうだろうか。

 肉がたくさん、ネギがたくさん。おまけに紅ショウガも付け合わせときている。なるほど。この具だくさんがシットリ系のチャーハンの秘密か。

 では、御託はここまで。

 いざ、チャーハンよ! いただきます!

 

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

 

チャーハンうめぇ!
チャーハン、美味いぜ!

 

 いや、『美味いぜ!』じゃないな。犯罪的だ! 美味すぎる!

 パラパラ系チャーハンこそが究極にして至高のチャーハンという持論を持っている俺をして、美味いと認めさせるこのチャーハン。

 この店のシェフ、ただモノではない!

 まずはこの米だ。

 先ほども言ったが、通常のチャーハンは米と卵、鶏油が絶妙に絡み合っている。この油は何だろうか。おそらくは具の1つである肉の油。あるいは肉汁だろう。

 シットリ系のチャーハンも悪くはないではないか。

 いや、見方によっては”チャーハン”ではなく”ハンチャー”とも言えるかもしれない。何故ならば、通常のチャーハン以上に具だくさんだからだ。

 チャーハンといったら、本来の主役はパラパラに炒めた米である。米は卵、鶏油で絡めてある。そこに隠し味的要素として少々の具で味付けをしているのが王道のチャーハンだ。

 一方で、このチャーハンはどうだろうか。

 具が主役であり、そこに味付けとして炒めた米を絡めてあるといった印象を受ける。当然、これは個人的な主観だ。普段はどんなチャーハンを口にしているかで感想は変わってくるだろう。

 とにかく、俺にとってはこの具だくさんのチャーハンは衝撃的な美味さだったということを言いたい。

 よだれが止まらないぜ! このチャーハンだけで、チャーハン3杯は食べることができそうだ!

 おっと、忘れちゃい”紅ショウガ”

 ピリリと刺激を受けるチャーハンの名脇役だ!

 この店のチャーハンといえども、そこは油を使った料理だ。それだけを食べ続けていると、口の中が油でコーティングされてしまい、最初に受けた衝撃的な美味さが緩和されてしまう。

 そこに紅ショウガでピリリと刺激をさせると同時に、油のコーティングを落とすことで、口の中がリセットされる。

 いつまでも衝撃的な美味さを実感できるというものだ。

 牛丼といい、焼きそばといい、チャーハンといい。紅ショウガを効果的に使っている店は間違いない。これは美食家たちの常識である。

 

 さて、ここまで一口、一口とよく味わって食べてきたが… もう辛抱溜まらん! 目の間にあるラーメンとチャーハン。己の欲望のままに、ただただ食すのみ! さあ、あらためていただきます!

 

(BGM開始)

ジャカジャ~ン! ジャカジャ~ン!

ジャンジャカジャカジャカ! ジャンジャカジャカジャカ! ジャンジャカジャカジャカジャン! ジャ~ン!

チャララララ~ララ~ララ、ラァ~ララァ~! チャララララァ~ララ~ララ、ラァ~ララァ~!

チャララ~ラァ~ラララァ~!

食事のイメージ
うまッ! うまま、うまま~!

(以下、BGM再生中をイメージしてください)

 

ごちそうさまでした!
ごちそうさまでした!

直感に従う勇気こそが、未来を切り開くきっかけだ!

 堪能させてもらった。

 熱いラーメンと思いきや、レモンをそえることで夏にピッタリなサッパリ系ラーメンに仕上げる。ただのシットリ系チャーハンと思いきや、あえて具だくさんにすることでシットリさせて具のパサつきを防ぐ。

 ありそうでなかった発想だ。

 そういえば、ラーメンハゲこと芹沢達也氏も言っていた気がする。

「新しい何かとは、構造を疑い破壊することなくしては生まれないのだ!」

 なるほど。これが構造を破壊するということか。実に納得のいくラーメンだった。

 こんなラーメンならば、暑い日々が続く中でもサッパリと食べることができるだろう。齢のせいか、コッテリ系のラーメンを胃が受け付けなくなってきた俺にとっては、心のオアシスになりうるラーメンだ。

 それにしても、この店に入って正解だった。

 元々は道中たまたま目に入ったから、この店を選んだにすぎない。どちらかといえば、低収入の俺は店をよく選んではいるタイプだろう。

 それが今日はどうだろうか。

 ただ己の直感のままに、心の声に耳を澄ませそれに従って行動したまでだ。

 正解だった。あれこれ考えていたら、いかにも安いメシを提供する店を選んでいたかもしれない。日々の食事は一期一会。それを実感させる食事だった。

 時には直感のままに行動することが大切であり、それが未来を切り開く行為といったところか。

 

 さて、何はともあれ腹は満たした。もともとの目的だった仕事用の資材の調達も終わった。これにて帰るとしよう。

 朝、夕とだいぶ気温が低くなってきたが、日中はまだまだ暑い日が続きそうだ。俺の首回りはこんがり焼けた黒豚チャーシューになっている。

 これがすっかり焦げた黒豚チャーシューにならないうちに帰るとしよう。

 今度はどんな一期一会の飯に出会えるだろうか。今後の人生が楽しみである。

本日の立ち寄りスポット

 この日の昼間はとんでもない灼熱地獄だった。しつこいようだが、首回りがこんがり焼けた黒豚チャーシューになってしまった。だがそれも、もうじき過ごしやすい気温になってくることだろう。

 ようやく、一陣の風になれる季節がやってきそうである。それと同時に、バイクシーズンも終わりに近づいている。どこに行くのか、後悔のないように計画的なツーリングを楽しもうではないか。

 それでは、本日の立ち寄りスポットを紹介しましょう。ここまでご覧いただき、ありがとうございました。

立ち寄りスポット1 「プラスワン 塩尻店」

基本情報

【所在地】

長野県塩尻市広丘野村1526-1

【電話番号】

0263-51-0200

【営業時間】

7:00~21:00(毎月第1日曜日は9:00~21:00)

年末年始については営業時間の変更の可能性あり。変更になる場合、あらかじめお知らせページにて公開するとのこと。

【定休日】

年中無休(1月1日を除く)

【公式ホームページ】

https://www.plusone-ps.com/

 ここに売っていないのならば、素直にモノタロウなどの通販を使え。そう言い切れるほどのホームセンター業界最大級だろう品揃えです。

 開店時間も7:00と早いので、もしも平日の出勤前にちょっと道具を調達したいという時にも非常に便利。現場作業を行う人間の心強い味方となってくれます。

 難点として、マニアックな資材・道具を扱っていることでしょう。どんなものでも安い物から高い物までそろえてあります。自分が求めている品質はどの程度か。必要な資材・道具の用途をきちんと知っている人でなければ、店を使いこなすことが難しいでしょう。

 できる男にとっては、間違いない店ですね。

 長野県では「長野市」、「塩尻市」、「岡谷市」の3都市に店舗があります。

立ち寄りスポット2 「みさき食堂」

基本情報

【所在地】

長野県上伊那郡辰野町小野1288

【電話番号】

0266-46-2334

【営業時間】

11:00~14:00、17:00~22:30

【定休日】

火・水曜日

【アクセス】

JR小野駅から徒歩30秒、駅正面

【駐車場】

なし、小野駅駐車場をご利用ください

【本日の注文 1620円】

・レモンラーメン 820円

・麺大盛りトッピング 300円

・半チャーハン 500円

 JR小野駅を降りて、一番最初に目に入ってくる店になるでしょう。メイン道路である国道153号線をバイクで走り抜けていても、必ず目に入ってくる存在感。「何ぞこれ?」と気になってしまうこと間違いなし。

 昼はランチを楽しむ食堂であり、夜は気軽な居酒屋食堂に変わります。

 店内は30人ぐらい入店できそうなほど広々としています。1人でも落ち着くカウンター席、友人・家族でもゆったりと食べるテーブル席。さらにテーブル席は、スライドドアで仕切ることも可能です。ちょっと周囲に気を配って会食したい時に最適かもしれません。

 コロナ対策ということもあるかもしれませんが、美味しい料理を提供するだけでなく、美味しく食べることができるスペースにもこだわりがあることが伺えます。

「美味いメシを作るだけではアマチュア。プロなら美味い店を作れ」

 芹沢達也氏の提言を実現している店だと思います。一度食べたら、また帰ってきたくなる。いや、入店したくなる店となるでしょう。

 

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