令和2年度も残すところあと2ヶ月で終わろうとしています。
この時期になると消防団では新年度幹部の選出や、来年度の活動について話し合いが行われます。
今年度は新型コロナが蔓延したために、消防団活動も中止にせざるを得ない年でした。ポンプ操法も中止にせざるを得ないことは、ショックでした。
そんな消防団は、大よそどこの自治体も団員不足に悩まされています。
消防団のマイナスイメージを払拭するにはどうすればいいか悩まされます。
contents
消防団とは何か?
そもそも消防団とは何なのか?
これは総務省消防庁によって、公に認められている組織です。
消防団は、消防署(常備消防)と同様、消防組織法に基づき、それぞれの市町村に設置される消防機関です。地域における消防防災のリーダーとして、平常時・非常時を問わずその地域に密着し、住民の安心と安全を守るという重要な役割を担っています。
私の居住地(以下、『村』と記載)では、消防団という一つの組織の中に「第1分団」、「第2分団」と分かれています。さらに第1分団には各地区ごとに第1部~第3部、第2分団は第4部~第7部に分割されています。
各部の中には役割として「機関」、「ラッパ班」、「救護班」があります。それぞれが火災や災害が起きた時、消防団員として十分な活動が出来るように、普段か各訓練を行っています。
それぞれ何かしら仕事を抱えている中、地域社会の守る防災・減災活動に取り組んでいます。
何も火災発生時に出動するだけではありません。台風・大雨が発生した時などは、河川の状態、山の状態を確認し、住民に避難指示・避難誘導を行うこともあります。山林における行方不明者捜索も私たちの任務の一つです。
入団退団については全国の自治体によって異なります。
村では、入団対象者は18歳以上からとなっています。そして35歳定年で退団します。
消防団の活動内容
消防団の年間の活動は、各自治体によって様々です。村では大きく分けると次の訓練があります。
- 村団春季訓練(4月)
- ポンプ操法大会(6月)
- 村団秋季訓練(10月)
- 村団冬季訓練(2月)
他にも役割別にこまごまとした訓練はあります。
機関員にとってビッグイベントとなるのはポンプ操法大会になります。ポンプ操法には「小型ポンプの部」と「ポンプ車の部」の2種類あります。村では小型ポンプのみ実施されます。
各部「指揮者」、「1番員」、「2番員」、「3番員」を選出し(一応、「補助員」という役割あり)、ポンプ操法大会に向けて訓練を行います。
よく「ポンプ操法は現場では役に立たない」と言われます。私はそうは思いません。
確かに実際の火災現場ではいちいち「定位につけ」などの各種号令、筒先交代などは行いません。とにかく現場に来たら、早く消火活動を行えというのが実情です。
ですが誰もが好き勝手に動いていては、迅速な消火活動は行えません。ポンプ操法で行う動作は、火消しの基本的な動作になります。
「規律」、「機関の操作」、「ホース展張」、「吸管の扱い」、「消火」全てが消火活動に関係する基本です。この基本が出来てこそ、応用が利くというものです。
つまり実際の火災現場でも、各団員が好き勝手に動くことがない。火災現場に向かっている最中に、誰が何をするのかあらかじめ決まってしまう。基本が出来ているから、その時何をするべきが各団員が迷うことなく規律をもって消火活動を行うことが出来ます。
消防署が置かれていない自治体は、消防団の役割はかなり大きいです。真っ先に現場に到着できるのは、その地域の消防団です。地理を把握しているのも、その土地の消防団です。
ちなみに、村では今年度2件の住宅火災が発生しました。
また前述の通り、火災発生時に出動するだけではありません。台風・大雨が発生した時などは、河川の状態、山の状態を確認し、住民に避難指示・避難誘導を行うこともあります。山林における行方不明者捜索も私たちの任務の一つです。
幸い今年度は台風は発生しませんでした。ただ、梅雨の季節には大雨の影響で一部道路が冠水することがありました。住宅に影響が出ないうちに土嚢を積む、ポンプ車で水を吸い上げ、安全な場所へ放出する。私たちの重要な役目です。
消防団の現状
消防団は全国的にどこの自治体も団員不足に悩まされています。村における原因としては、大きく2つあります。
- そもそも入団募集をかけていく人間がいない(過疎化)
- 団活動を負担と感じてしまう(敬遠)
入団募集をかける人間がいないことは、この際仕方がないとします。だからこそ、数少ない勧誘をかける人間が如何に参加しやすい消防団にするかが問われます。
消防団員は全員何かしらの仕事をしながらの活動になります。日々の訓練にしても、仕事が終わった後に集まって行うこともあります。
恐らく入団に敬遠してしまうのは、団活動が大きな負担に感じてしまうからだと思います。他にもネット上には「飲み会ばかりやっている」、「お金の管理が不透明」など心無い言葉が並んでいます。
確かにそういう自治体もあるかもしれません。少なくとも村ではそういうことは一切ない。鉄オタではありませんが、そういう一部のマイナスイメージが全体に波及してしまうのが甚だ不愉快です。
とはいえ村では団員減少で、一人一人の負担が増加していることも事実としてあります。
そこで近年は活動内容の改革も行っています。有事において十分な防災・減災活動を行いつつも、如何に負担と感じない活動にするか。
訓練内容についても、減災活動に役立つものにシフトしつつあります。
もちろん防災活動も行います。しかし近年の気候変動の影響か、どうしても大雨などの災害は発生してしまいます。災害は発生するものとして、活動方針を変化させるようにもしています。
団員数の減少に伴い、ポンプ操法の開催取りやめも議題にあがっています。ポンプ操法は訓練するにしても人手がどうしても必要です。やはり団員減少による一人一人の負担増加が背景にあります。
個人的にはポンプ操法は大好きでしたので、開催取りやめの議題は残念なことです。
では、それに変わる訓練は何をするか。どうすれば防災・減災能力が落ちないように消防団を維持していくか。手探りではありますが、少しずつ改革を進めている次第です。
消防団のメリット、デメリット
先にはっきりと言っておきます。
メリット、デメリットで判断する人は、恐らく続かないと思います。
それらある種の都会的な考え方、個人主義的な考え方、お金にならない雑用と考える人は、消防団活動をただ負担だと感じるだけだと思います。
メリット、デメリットで消防団活動を行っているわけではありません。
自分が住んでいる地域にとって、必要な組織だから消防団に入団しています。消防団活動をしています。
無理矢理メリットを上げるとするならば、団員同士、地域住民同士との繋がりが出来ることでしょうか。
菅総理は自らの政策理念として、「自助・共助、公助」を掲げました。消防団は共助にあたります。
地域の災害時要援護者の避難に協力したり、地域の方々と消火活動を行うなど、周りの人たちと助け合います。
地方移住の雑誌を見かけると時にはキラキラした記事が掲載されています。「野菜などをお裾分けしてもらえる」なんて記事も見受けられます。
何もしない人にそんなことがあると思いますか?地域住民との繋がりがあってこその出来事です。お互い共助の精神があるからこその出来事です。
けれども、そういうことをあまり言っていては、消防団に入団してくれる人もいなくなってしまいます。お互いの価値観に合わせた団活動をどうやって両立するか、悩ましいことです。
消防団はボランティアに非ず
消防団はその地域に必要な存在だから、組織として成り立っています。その地域に必要なことだから、各人仕事を抱えながらも有事に備え訓練に励んでいます。
地域のボランティアのようでいて、ボランティアではありません。
今後は水災を中心に、毎年のようにやってくる世の中になると思います。
いざという時、いかに地域住民の命・財産を守っていくかが問われます。
一人だけでは守り切れなくても、複数人ならばもう少し多くのことが出来ます。
共助の精神をもって、地域の生活を守っていきたい方は、ぜひ入団してもらいたいと思います。
おまけ(ある日の消防団風景)
定期的に装備品の点検を行います
車庫には装備品の予備が置かれています
機関(ポンプ)点検もきっちり行います
今年度は火災が2件発生しました
来年度幹部を決める話し合いを行いました
消防団は君を待っている!