「孝行したい時に親はなし」という言葉があります。子が親の有難みを知り、孝行しようと思えることには親は既に死んでいるものだと教える言葉です。
親孝行というわけではありませんが、もう少し家族のことを知っておけばよかった。そう感じてしまうことがあります。今日はそんな話です。
気難しいが、しっかり者の祖父
ふと祖父のことを思い出しました。祖父が亡くなってもう少しで5年が経ちます。
私が知っている祖父は、食事に関してはとても気難しい人でした。食卓に気に入らないものが出てくるとすぐにヘソを曲げてしまい、米だけ食べて別室に行ってしまいます。別に好き嫌いがあるわけではありません。何がスイッチとなるのかよくわからない人物です。
それ以外の私生活については、やることがとてもキッチリとした人でした。特に印象的だったのは、祖父が亡くなった直後のことです。
生前、「自分が死んだらこの箱の通りに行うように」と指示していました。そこには葬儀の段取りのことが全て用意されていました。お寺や親族、他関係者など、だれに連絡するのか住所・電話番号も記されていました。遺産関係のことについても、段取りを進めてありました。
いわゆる「終活」というものを行っていたようです。見た感じ、業者に頼むことなく自分だけで行っていたことが窺えました。本当にしっかりしている人です。
叙勲を受けた祖父は何者なのか?
さてそんな祖父ですが、「瑞宝双光章」の叙勲を受けています。平成25年のことです。その時の私は、どれだけ名誉なことか分かりませんでした。何も知らない失礼な孫でした。
インターネットサイト「コトバンク」によると、以下の通り解説されています。
瑞宝双光章(ずいほうそうこうしょう)
日本の勲章の一つで、瑞宝章6つのなかで5番目に位置する。2002年(平成14)8月の閣議決定「栄典制度の改革について」により、それまでの勲五等瑞宝章から名称が変更された。翌2003年5月の閣議決定「勲章の授与基準」によれば、公共的な職務の複雑度、困難度、責任の程度などを評価し、職務をはたし成績をあげた人に対して、6番目の瑞宝単光章以上を授与するとなっている。受章者には保護司や小・中学校長などが多い。伝達は所管大臣が行うが、総務省および厚生労働省関係は都道府県知事が行う。◇英訳名はThe Order of the Sacred Treasure, Gold and Silver Rays
とにかく祖父は、長い間公的な職務を果たしていた人なのだということは理解できました。思えば祖父のことは、日本各地を回っていたという話は聞いたことがあります。ただ回った先で何をしていたのか、そもそもどういう生まれなのか何も知りません。
「孝行したい時に親おらず」という言葉があります。今、まさにそんな気分です。もっと祖父と話をしてみればよかったと思います。
せめて自分の両親には後悔のないよう、今のうちに出来ることをしていきます。